ライフデザインと支援シート

 学校現場における支援の具体的な手がかりとして利用できるよう「ライフデザイン支援シート」を開発しました。このライフデザイン支援シートは、愛知県総合教育センター相談部と愛知教育大学教育臨床総合センターが共同開発した支援シートです。
 ライフデザイン支援シートは、作戦会議の参加者が話し合いながら上から順番に書き込んでいくことで、自然に会議が成立し、具体的な支援策が立てられるようになっています。
 1のブロックでは、まず「どんなことが起きているのか」「誰が何に困っているのか」をはっきりさせ、問題を整理します。「いつ、どこで、誰が、どのように…」と、1つ1つ問題を具体的にしていくことで、支援の対象が誰なのか、どんな行動なのかを、明らかにすることができます。次のステップでかみ合った議論をするためにも、「問題点のまとめ」を利用して、この段階での共通理解を確認してください。
 2のブロックでは、具体的な支援策をまとめます。問題そのものを直接何とかしようとしても、会議が行き詰まってしまうことがあります。簡単には解決の道筋が見えないからこそ「問題」としてみんなが困っているのだ、ということもできます。「生かしたいこと」から「やれそうなこと」という視点で問題全体を見直すと、おそらくそこに支援のヒントが見えてきます。特に「やれそうなこと」という視点は、実際に動く必要のある学校現場では重要な視点です。様々な場面で子供に関わっている関係者が一堂に会して考える意味もここにあります。最後に、やはり確認事項として、「支援の方針のまとめ」の「今すぐやるべきこと」と「今後やるべきこと」を書き出します。ここでは、できるだけ具体的な行動としてまとめてください。具体的であればあるほど、何をすればいいのかがはっきりし、後日作戦の効果を検証する際に、チェックポイントがはっきりします。
 3のブロックでは、役割分担を明確にします。これも図示することによってやるべきことが具体的になり、それぞれが動きやすくなることを狙っています。支援チーム全員が、はっきりと図示された役割分担を共有することで、対応をめぐるチーム内の誤解も避けられるでしょう。また、この図は現状の把握のためのものではなく、具体的な支援の設計図で、今後のための役割分担です。それを強調するため、名前を「関係図」から「役割分担図」に改めました。
 2のブロックと3のブロックを考える際に参考にして頂きたいのが、4「作戦立案のポイント」です。これは「支援の指針」と「教育的支援項目」からできています。作戦会議が迷走しないための羅針盤の役割を果たします。
 最後に、このシートは教員研修ツールとして使えるようにも作られています。架空事例などを用意して、疑似作戦会議を行うワークショップ型研修は、より実践的な学びにつながるだろうと思います。何回か体験してシートのフォーマットに慣れると、事例を考える際の筋道が自然に身に付きます。


松原正明・牧野昌子 2016 発達障害のライフデザイン支援〔連携支援篇〕 第三章より

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●不登校と発達障害の理解と支援-ライフデザイン支援シートの活用―
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