ライフデザインと支援シート

2015年12月24日
研究会「デザインのちからと特別支援教育」を開催

12月24日(木)愛知教育大学 教育未来館3B教室において、平成27年度文部科学省委託事業「発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業」の一環で研究会「デザインのちからと特別支援教育」が開催されました。司会の三谷聖也准教授(本学教育臨床学講座)からの挨拶・趣旨説明が行われたのち、小崎真先生(豊明市教育委員会指導主事)による講演がなされました。参加者は、本学大学院生、教職員など21名。アンケートでは、「視覚支援について、自分のもっていた知識の浅さや偏りに気づかされる機会となった」「障害という特性を通した世界の在り方に学ぶという考え方がとても勉強になった」「困り感にばかり焦点をあてるのでなく、その子がみている世界や生活を体験することの大切さが理解できた」「美術鑑賞の体験においては、視覚がないからこそ感じる驚きは新鮮だった」などの声がありました。講演の概要は以下のとおりです。

 


 

「視覚支援に関する一考察 視覚芸術の視点から」豊明市教育委員会指導主事 小崎真先生

視覚障害者の美術鑑賞に関して、疑似体験や愛知県美術館でのワークショップの紹介、文献などを通して、「落とし穴」を含めた「視覚化」支援についての講演がなされました。すなわち、視覚障害者は美術鑑賞をする際、触覚や聴覚などに加えて、ソーシャル・ビュー(言葉を道具に他人の目で見ることと、その他人と体験を共有すること)を通して鑑賞することなどが伝えられました。そして、それを支援する人と支援される人との、「特別視」でも「対等な関係」でもない、共同作業を通した「揺れ動く関係」や、支援される人から学ぶ視点や、支援される人の楽しみを奪わないことの大切さなども指摘されました。また、発達障害のある人の「視覚映像優位型」と「聴覚言語優位型」の違い、それに基づいた教育のポイントなどについても説明されました。そして、批判的思考をもちながら、支援を少しずつフェードアウトし、自己肯定感を高めながら自分でできることを多くしていくことの重要性についてなどのお話もありました。

 

(報告:愛知教育大学教育臨床学講座 准教授 三谷聖也)