ライフデザインと支援シート

2015年11月29日
研究会「発達障害支援におけるタテの連携を考えるⅡ」を開催

研究会「発達障害支援におけるタテの連携を考えるⅡ」

11月29日(日)名古屋国際会議場1号館133・134会議室において、平成27年度文部科学省委託事業「発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業」の一環でシンポジウム「発達障害支援におけるタテの連携を考える」が開催されました。司会の三谷聖也准教授(本学教育臨床学講座)からの挨拶・趣旨説明が行われたのち、第一部では、岩田吉生(本学障害児教育講座准教授)による基調講演、第二部では、各界で活躍中の専門家による実践報告がなされました。参加者は、教育委員会・学校教職員、大学院生など56名。アンケートでは、「大学・福祉・医療での障害学生の支援を知ることができた」「将来の選択肢を広げるための診断や早期支援の必要性がわかった」「研究会を通して明るい未来を感じることができた」などのお声を頂くことができました。各講演・実践報告の概要は以下のとおりです。

 


【第1部:基調講演】
「発達障害支援における高大社の連携-特別支援教育の視点から」愛知教育大学障害児教育講座准教授 岩田吉生

発達障害はその診断の確定自体が重要ではないことを前提に、福祉手帳の取得や機関連携によって、生き方の選択肢が広がることなどの話がありました。また、就労の現状や課題、大学での障害学生支援に関する話がありました。本人・保護者の障害受容や就労への動機づけの重要性、就労で求められる具体的なスキルを幼少期から高める必然性、時間をかけて「依存的な自立」を目指すことの大切さなどが講じられました。

 


【第2部:実践報告】
「学生相談の実践」東北工業大学ウェルネスセンター臨床心理士 上西創先生

発達障害のある人が、発達特性にどのようなデザインバリアがあることに伴って生きにくさを抱くのか、そのバリアを探って支援する視点が報告されました。そして、大学生の学業や就労、二次障害予防に向けた具体的な実践に関して、教員・外部機関やピア・サポーターなどとの連携例などが紹介されました。

 

「クリニックにおけるリワーク支援の実践」はしたにクリニック臨床心理士 古橋直幸先生

障害者職業センターとの連携の中でのクリニックのデイケアでの取り組みが、具体例を通して報告されました。障害者手帳取得による就労の選択肢の拡大、本人の障害理解と支援者・職場側の歩み寄りによる安定した長期就労に向けた支援などの話題に加えて、発達障害者の個性的な適応努力に焦点を当てた介入の具体例などが話されました。

 

「障害者福祉の実践」社会福祉法人豊寿会あいそら羽島サービス管理責任者 鹿野義人先生

障害者総合福祉施設における相談支援事業所および「計画相談」の位置づけや、本人の希望を尊重した伴走型の自立支援の実践例などが報告されました。そして、様々な障害福祉サービスの選択肢があり、その人の障害特性に合ったサービスや事業所をみつけるための、事業所や相談支援専門員とつながりをもつことの必要性などが話されました。

 


(報告:愛知教育大学教育臨床学講座 准教授 三谷聖也)